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起点としての80年代:Starting Points Japanese Art of the `80s

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 1980年代は、「インスタレーション」や「メディア・アート」など、今日の美術につながる重要な動向が生まれた時代です。時代がバブル景気に向けて加速し、消費文化が花開くなか、現代美術の世界でも70年代までのコンセプチュアルで禁欲的な表現から、自由奔放で多様な作品が一気に生まれました。各地で多くの美術館が開館し、貸画廊と呼ばれるギャラリースペースも賑やかでしたが、「オルタナティブ・スペース」が登場し始めたのもこの時代です。「美術」に代えて「アート」という言葉がよく使われるようになりました。  近年、「具体」や「もの派」など70年代までの戦後日本の現代美術に関する研究は、国内外で急速に進んでいます。また、サブカルチャーに影響を受けた90年代以降の表現が注目を浴びるなか、その狭間に位置する80年代の検証はまだこれからと言えるでしょう。  本展は、「メディウムを巡って」「日常とひそやかさ」「関係性」「記憶・アーカイヴ・物語」という4つのキーワードをあげ、19人の作家を紹介しながら1980年代の日本の美術を見つめます。(HP)  中原 浩大  金碗 1985 ●何気なく訪れた静岡市美術館で 素敵な作家に出会うことができました。 この機会を逃したら、 知ることもなかったかもしれません。 画面からほとばしる 天才性、 一瞬のきらめき を見つけました! 諏訪直樹(1954−1990)  波濤図 NO1  1980    26才 アクリル  波濤図 NO2 1980 音楽にまつわる思い出  北澤憲昭 ぼくの母の葬儀の前後に、諏訪はキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」に、沈鬱な表情でじっと聞き入っていたと誰かがのちに教えてくれた。あの淋しさと悲しさの入り混じった演奏を、その後、ぼくはいくたび繰り返し聞いただろう。1990年3月。諏訪が亡くなる数カ月前のことだった。 没後20年追悼文(一部引用)